2001年 | 短刀 | 銘 | 昭次作 平成十三年弥生日 |
刃長 26.1cm 反り 0.1cm |
形状 | 平造り、庵棟。 |
地鉄 (じがね) | 小板目肌よく詰み、やや流れ肌交じり、地沸厚くつき、湯走り現れ、細かい地景よく入る。 |
焼刃 (やきば) | 沸深い湾れに太い足入り、刃中砂流し、太い金筋かかる。 |
帽子 (ぼうし) | 湾れ込み、やや沸崩れ風に丸く返る。 |
中心 (なかご) | 棟小肉、鑢目筋違、先刃上がり栗尻、孔一。 |
これほど幅広い作域に手を染めてきた刀鍛冶は、古今まれであったのではなかろうか。
これまで用いてきた相州伝や備前伝などの伝法を表す言葉は、鑑定のために便宜的に生まれてきたもので、文字通りの「作り方」を表すわけではない。
つまり、作風の大まかな分類を目的としている。
その作風も多様であるが、そこに迫る道筋がまた多岐にわたる。
素材は古鉄に始まり、自家製鉄の鉧・銑鉄、そして処理は卸し・左下・反射炉式精錬・・・その意味で、作域は比類なく広い。
この短刀は、比較的チタンを多く含む種子島の砂鉄を吹き、鋼として用いた。地刃の変化は、原料と製鉄のいかんによるところが大きい。
相州伝の本流、すなわち相州上工の再現を目指して、さまざまな試みが続けられてきたのである。
天田昭次 作品集より