1986年 | 剣 | 銘 | 明日香宮大前 天田昭次謹作 (側面)皇紀二千六百二二十六年七月吉祥日 |
刃長 65.4cm 反り なし |
形状 | 両切刃造りの主刀と、左右交互に三本ずつの両鎬造り両刃の枝刀を持つ。 |
地鉄 (じがね) | 板目肌やや肌立ちごころとなる。 |
焼刃 (やきば) | 匂がちの直刃、匂口締まる。 |
帽子 (ぼうし) | 直に焼き詰める。 |
中心 (なかご) | 鑢目筋違、先栗尻、孔一。 |
本歌は、奈良県天理市・石上(いそのかみ)神宮の御神宝で、国宝に指定されている鉄製の剣である。
「七支刀」(しちしとう)の名で知られる。神宮神域から出土したとされる。
『日本書紀』神功皇后五十二年の条に、百済王から倭王に「七枝刀」(ななつさやのたち)が献上されたとの記事があり、これに相当すると一般に考えられている。 また、表裏中央の鎬地に60文学の金象嵌があり、これによれば、倭王に下賜したものという。
「百練銕(てつ)」の銘文も興味深い。刀身は厚い錆に覆われている。 実見せずに軽々な判断は避けなくてはいけないが、下半部の破断は鋳造を物語るものではあるまいか。
焼入れは、おそらくなされていないであろう。
象嵌の加工は、表面を脱炭焼き鈍した上でなら容易である。
本作は鍛造して成形し、先端部にのみ焼きを施している。
至難の技術である。
天田昭次 作品集より