1988年 | 剣 | 銘 | 天田昭次作 皇紀二千六百二二十八年皐月吉祥日 |
刃長 54.6cm 反り なし |
形状 | 両鎬造り。 |
地鉄 (じがね) | 小板目肌よく詰み、地沸つく。 |
焼刃 (やきば) | 小沸出来の直刃、匂口締まりごころに小足入る。 |
帽子 (ぼうし) | 直に焼き詰める。 |
彫刻 | 表裏の鎬に細い棒樋を掻き流す。 |
中心 (なかご) | 鑢目筋違、先尖りごころの栗尻、孔一。 |
古作にも類例の少ない長剣である。全く破綻のない作品に仕上がっている。
銑を反射炉式精錬法で処理し、素材としているが、和銑であれば何でも良いというわけでは決してない。
良質の銑を求めて、全国のさまざまな砂鉄を試し、それに応じて異なる方式の炉も試みてきた。
これはと思う鋼や古鉄を銑に吹き直し、さらにこの方法で鋼としても、結果は異なる。
銑はそのまま溶かせば鋳物になり、脱炭加工することで鋼にも錬鉄にもなる。
その方法も一様ではない。
天田さんは、考え得るあらゆる可能性に挑んできたのである。
天田昭次 作品集より